ドドドドドドドド……


『どんどん撃って〜』



々の黄昏5



レベル2がいた。 レベル1に命令を出している。レベル2が居るという報告はなかった。


("生まれたて"ということか……)


レベル2に進化したてのアクマは自我が目覚めたばかりで破壊衝動を抑えきれず、非常に凶暴な場合が多い。



(下手に近づくのは危険だな……)


崖の上から様子をうかがっていると、アクマの銃撃音が止んだ。 浮かび上がってきたのは結界装置に守られた2つの人影だった。 視界が良くなり、レベル2の方をよく見ると人間の頭を踏みつけていた。もう、潰れている。


「先遣隊は全滅のようだな……くそっ」


悔しそうな声をが漏らすと同時に、隣の影が突然動いた。


「アレン君っ────!!」


アレンはの制止の声に止まることなくレベル2へと突っ込んでいった。


「あの馬鹿……」


明らかに神田は苛立っていた。


「……しょうがない。ユウ、アレンがレベル2を引きつけている内に、 速くイノセンスを回収しよう。 あの結界装置がいつまでもつか分からないっ!」

「分かった。 ────六幻、災厄招来!界蟲『一幻』!!」


神田が六幻でレベル1を2体破壊すると同時にはイノセンスへと向かった。 の心配通り、結界装置は限界間際だった。


「……くそ、パスワードが設定されているのか!」


解除コードを入力しない限り、開かない。 パスワードを解析しようにもこの状況じゃ難しい。


「おい、。こいつまだ息があるぞ!」


先程レベル2のアクマに頭をつぶされていたファインダーだった。 かろうじてまだ生きていたらしい。


「き……来てくれたのか、エクソシス……ト。」

「早く答えろ。部隊の死を無駄にしたくないのならな。」

「……は、Have a hope"希望を…持て……"だ!」


最後の力を振り絞ったのか、そう言い切ると同時にそのファインダーは力尽きた。 神田の叫びに急いでアクマの攻撃によって出来た巨大なクレーターの底から飛んできたは、それが見知った顔であった事に眉根を寄せた。


「……急ごう、ユウ。アレン君が心配だ。」


結界を解除し、神田は男をは少女を担ぎ上げ、窪みから飛び上がった。 眼下にアレンとレベル2が見えた。


「助けないぜ、感情で動いたお前が悪いんだからな。 ひとりで何とかしな。」


レベル2に苦戦しているアレンに対し、冷酷に神田は言い放った。


「いいですよ、置いてって。イノセンスがキミ達のもとにあるなら安心です。 僕はこのアクマを破壊してから行きます。」


アレンは殺人衝動で狂ったアクマを見据えながら静かに言った。


、行くぞ。」

「ユウ、私はここに残るよ。もしアレンが負傷したら私が連れて行く。」


頑としてそこから動く気配の無いに、神田はチッと舌打ちして少女と男を連れて走っていた。




***



(写し身……厄介な能力だな。)


レベル2に対し善戦していたアレンだったが、アクマの能力に動揺し深手を負ってしまった。 コムイと共に見たティムキャンピーの映像からすると、アレンはレベル2と戦った経験がないようだったから仕方のない結果かもしれないが。


ド、ドドドドドドドン……


「……アレンっ!」


写し身の能力で盗られた『アレンの左腕』によってアレンは貫かれ、その勢いで吹き飛ばされてしまった。 爆音と共に建物にどんどん穴が空いていく。 急いではアレンの元へと向かった。


「もしかして……下に落ちたのか?」


横穴の終着地点にアレンはおらず、下に向かって大きく崩れている。 は底の見えない暗闇の中へと飛び降りた。